2026.04 芽吹き
第一章|触れる
手を入れると、
すぐに土の中に入っていく。
表面は乾いているが、
少し下は、やわらかい。
掘るというより、
押し込むような動きになる。
手袋をしていても、
指先の感覚は残る。
気づくと、
爪の先まで土が入り込んでいた。
第二章|止まる
同じ動きを繰り返していると、
ふと、手が止まる。
指先だけが、
わずかに動きを変える。
ただ、
その場所だけ、
少しだけ時間がずれているようだった。
少し離れた場所で、
土を崩す音が続いている。
手はまだ、
土の中にある。
第三章|残る
手を抜いたあとも、
土はそのまま残っている。
表面は乾いていて、
少し下は、やわらかい。
さっきまで触れていた場所に、
そのまま土がある。
手はもう離れているが、
そこにはまだ、
何も起きていない。
エピローグ|離れる
そのまま土がある。
光が、少しだけ変わっている。
手は、もう触れていない。
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